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老害という言葉 2005/05/10

 搾取される若者 VS 既存利益にしがみつく老害
といった論調というか、図式で語られることが最近目につくようになった。

 老害、なんて言葉が使われ始めたのはいつからだろうか。
非常に下品な言葉だと思うのだが、そもそも、「若いほうが感性が鋭く体力もあり、総合力として優れている」というお題目自体が幻想と思っている。
医学的にも、年をとれば能力が落ちるとはいえないらしい。経験によって決断が早くなり、判断が正確になることもあるし、斬新な発想は経験の蓄積から生まれていることも非常に多い。

 最近は起業家の成功者たちが派手で、ようやく若い世代が大きな富と権力を持てる時代になったと見られがちだが、ごく一部の若手が成功する、という話は、 今に始まったことではない。松下幸之助は20代で堂々たる企業の社長だったし、田中角栄は30代で大臣になったわけだし。

 「若い人たちは能力が高いのに、それを阻んでいるのは能力のない老世代たち」
という話は、ビル・ゲイツあたりの米の成功物語や明治維新などが歴史的事実になっているのも踏まえてのこともあるだろうが、明治維新は確かに若手が成し遂げたが、一方で、昭和初期の混乱から太平洋戦争の流れも、若い人たちの「書生気分」が導いたともいえなくない。
社会を動かしていくにあたって、誰に何の仕事をたくすか、力を誰にどう配置していくか、という問題は世代や年齢で割り切れるほど単純なものではない。

 特に日本はこれから未曾有の高齢社会になるし、一人一人の人生のスパンは今後もさらに長くなっていくだろう。
働くというのは社会にコミットしたいという人間にとって本能的で本質的な活動のことである。
ある年齢になると、働きたいと思えない社会は不幸だ。
20代、30代で成功しなければ、あとは負け組(この言葉も実に下品だと思うが)といった社会が、幸福な社会か、と言えばまったくそうでないだろう。
「いくつになっても働くことに価値と誇りが持てる社会」をどう築けるか。これは価値観の問題であり、心の問題でしかないともいえる。

 経営者ならその問題を意識して価値観の構築の一翼を担うべきだし、それを意識しない経営者はだめだと思っている。


written by 株式会社ソーソー代表取締役 下野友哉